第241号 7月16日金 わが師 折口信夫。加藤守雄、を読む8.

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【金曜日【禍】壇】
満員。のマクド二階に仁王立ち、デジカメ連写すカ・イ・カ・ンとて…か

わが部屋に十四時間ぶり。かへりたれば ごきぶりと蟻らがご機嫌であつた

金曜日二十二時過ぎマクドなるの、をみなの脚のことごとくが長/ナガ/

このごろのをみなごの脚の信じられん なんといふ長/ナガ/。アメリカ映画のごとし

【わが師 折口信夫。加藤守雄、を読む8.】
……最初(慶応国文科)、教室で見た折口先生の印象は、奇妙なものだった。小走りするような内股で教壇に上ると、一オクターブ高い声で、講義が始まる。……小さな手帳を手にして、想のおもむくままと言った風に話してゆかれる。……講義の終りかたが、…熱っぽく高揚していた声がふいにとぎれ、お辞儀をされたかと思うと、あれよと言うまに教室を飛び出していった。

天才の面目躍如している。矢嶋博士は生まれ変わったら、ぜひ一度はこの不出生の化物の講義を見てみたい。
この雰囲気はウィトゲンシュタインの、ケンブリッジでの講義を思い起こさせる。

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【ウィトゲンシュタインの想い出。ノーマン・マルコム・板坂元訳。平凡社ライブラリー、11ページ】
……ウィトゲンシュタインの批評は、うまく言葉にならないまま、しばらくとぎれた。けれども、必死になって考えをまとめようとしている努力は目に見えて明らかだった。思考に集中して、両手に力を入れて相手に語りかけようとしている身ぶりに、みんな緊張と期待の中に沈黙をつづける。

……想のおもむくまま
……想に沈みこむまま

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折口信夫は広がりゆき、ウィトゲンシュタインは縮まりゆき。ソシュールのウィーン大学での講義はどちらかというと、ウィトゲンシュタインに近いものだった。根っからの学者とアーティストの差、というものであろう。しかしウィトゲンシュタインは多分に哲学者というよりも血の気多いアーティストの感じが濃いが。そういえば折口信夫、ウィトゲンシュタインともにホモの傾向を示していた。ウィトゲンシュタインは映画になっているらしい。折口信夫も十分に映画になる。日本映画界が折口信夫に追い付くということは永遠にあるまい。が。と、いうのは折口信夫の全体を描こうとすれば、莫大の金と複雑怪奇の伏線張り巡らせる脚本が要る。とうてい、この国の実力では不可能だからだ。
現に地元・日本短歌業界は、はるか関係ない距離にさまよたっている。し。な。あ。嗚呼。
偏狭の万葉イッペントーの子規茂吉アララギ文明多数俗衆選歌添削システム……先細り…死滅…の果てに来た。厭離穢土。オノレの結社の弟子をオノレの情婦を新人賞にえこひいきに強引しなんとも思わない破廉恥が常態になり果てているめでたさにまで進化している。茂吉アララギ毒の文明自家中毒の、また他流のチョコレート反革命・無援の抒情反革命の、は全業界誌、Web をいまも覆いつくし。全盛である。草場の底ではさぞかし、二条派アララギ派アララギ亜流派亡霊どもが喜んでいることだろう。慶賀に耐えられない。←ら入り言葉遣い。ところだ。

【わが師 折口信夫。朝日文庫版127ページ】
……日本歌人協会(ヤシマヒロシ注:これって今もあるのか?)の会長候補に佐々木信綱博士が選ばれた時にも起きた。佐々木信綱を最大級に讚美する言葉がつづいた。……。何人目かに折口先生がつつましい態度で立ち上がった。

……「昭和の歌人のすべてが、佐々木さんの業績を無条件に讚美したと思われては、後世への恥辱チジョクです。私は皆さんのおっしゃるほどの価値を認めることは出来ません」歯にきぬ着せずに言われたらしい。……。
……時と所と相手とを全く顧慮しない、いちずさがあった。

このあたり、昭和20年に陸軍の情報将校に噛みついた折口信夫を彷彿させる。慶応の学徒出征壮行会での反戦送辞訓示も同じ人格であろう。
折口は日本陸軍参謀本部というドイツナチスと双璧のファシストどもに、その支配下の中に、敢然(この形容詞はゆるされる)と怒号を発した数少ない人間の一人であった。面と向かって噛みついた、ということでは唯一の日本人ではなかったか。軍部という気違いには日本国学のデーモン憑きゴーストの狂人←誉めている、でなければ噛みつけない。他の文学者のよくすることでは無い。冷静な荷風などは日記にボソボソいう。他の歌人は戦争讚美歌をつくっていればいいので。

【折口信夫坐談。中公文庫版76ページ】
……佐々木信綱の近頃の歌は、何でもないことを、字余りや何やら、幼稚に持ってまわって、頭にはいりにくくいう。
【同136‐137ページ】
……佐々木信綱は旧派以下だし、窪田空穂は短歌の生命律を失っているから、一応平易にわかっても、認めるわけにはゆかない。木下利玄…ごく低級な歌詠みで…誰にでもわかる技巧がハッキリわかる。 アララギ風を真似た、でたらめで本質的なもののない歌が通った、それが普遍性というなら、普遍性なんて恥だ。吉井勇など目もあてられない、恥ずかしい。

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【三島由紀夫「折口信夫氏の思ひ出」】
……古代の語り部というものには何らかの肉体的宿命があったらしいが、先生も明らかにそれと同種の暗い肉体的宿命を負ってゐられた。

折口信夫が軍部に、日本短歌業界に噛みつくとき、その風貌は、三島由紀夫が描写した【暗さ】が光芒を発していた。折口信夫のこの【暗い光芒】は、数多の弟子を集めても言葉には結晶できぬ体の、深く大きなものであった。
三島由紀夫という現象、の現われるまでを待たねばならなかったのである。
遊軍・在日Irishry・矢嶋博士
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