第242号 7月17日土 わが師 折口信夫。加藤守雄、を読む9.

【土曜日【禍】壇】
三宮マクド二階の早朝に、がらんどうならば淡路マクド二階を思ふ
きのふ送りしシャープペンシルひと揃へは、けふ子どもらの手に触るるらんか
……十五歳と十二歳に
ダイソーに佳き物なければ、足を延ばしハンズの棚に迷ひ選びし
たはむれに。画材売り場を通り見る。に沸沸と胸を衝く。ものは、なにか
ヤマトなるメール便速達260円安い、は勺禰子のわれに教へ呉れしもの
窓を這う大蠅を見る。べろを延ばしなにか舐めをる、そのべろが長い
……三宮マクド二階窓ガラスの蠅に与ふ
【わが師 折口信夫。加藤守雄、を読む9.】
折口信夫の天才は複雑怪奇の彼の知覚認識野の深淵にうごめく【知と情】の統合にある。が、それをくっきりと記述するのは難しい。ので、ただ表面のあらわれを、矢嶋博士は辿る。
【わが師 折口信夫朝日文庫165‐166ページの話など。】
加藤守雄=……まるで昨日読んだ作品について語るように、鮮明な表現で述べてゆかれる。花袋や鴎外の作品などは、ところどころ原文を暗誦された。
先生の書庫には近代文学の資料なんてひとつもない。……どれもこれも、青年時代に雑誌や新聞で読まれた記憶によるものだろう。
矢嶋博士=口語訳万葉集なども、おそろしい速度で口述し、弟子が交代で必死に筆記し、成ったものである。この辺折口信夫のモーツァルト的の、あの、俯瞰能力を思う。
矢嶋博士=司馬遼太郎がサンケイ新聞記者地代、毎朝出掛けに百科事典の一ページを引きちぎり通勤の30分ほどにみな呑みこんだ。深い意味はない。たんなる暇つぶしという話に過ぎないが、まあ、司馬遼太郎という、日本史上、空海に匹敵する巨大の知の存在を、折口信夫に重ねて見る。ことは許される。これは誇張ではない。
【同177ページ】
ある日、信夫の留守に歌人の水町京子というものが来て夕方に帰って行った。たまたま折口信夫の兄の折口進がいた。女が帰った後の座敷に入り、
折口進=あの女、茶碗割ってゆきよった。
……そこへさしてちょうど折口信夫が帰宅、顔色を変えて、
折口信夫=ぼくの弟子に、そんなものはおりません。自分でそそうしといて、女にかずけるのは卑劣や。
進=そんなこと言うても、あの女が割ってったんや。
信夫=男のくせに、女に責任をかずけるなんて、くずや。ぼくの兄弟にそんな卑劣な者がいるのは許せん。
加藤守雄=と言うなり、進氏にむしゃぶりついて行かれた。
……やっと逃げ出した進氏は、
進=のぶ夫は気違いや、
加藤守雄=つぶやきながら、勝手口からばたばたと出て行かれた。
折口信夫=刀があったら、叩き切ったろかと思った。
矢嶋博士=加藤守雄の大阪弁の聞き取り聞き書きは正確で見事である。折口信夫は兄弟からはのぶお、のぶおと呼ばれていたこともわかった。しかも、兄上の捨て台詞は折口信夫の深奥に届いているものかも知れん。
……のぶ夫は気違いや。
は、三島由紀夫が見た折口信夫の顔の神秘性に繋がるものであろう。
遊軍・在日Irishry・矢嶋博士




「した した した。 ...

読みづらいと思われた ...
能を観ている様な幽玄 ...
