日刊短歌

アクセスカウンタ

zoom RSS 第506号4月9日土 【昭和天皇御製を読む 162】ななそぢになりしけふなほ忘れえぬ

<<   作成日時 : 2011/04/09 07:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像

【土曜日【禍】壇】茂り繁らせ給へ

……2011年4月8日金曜日の未来に
十五歳の入学の日にふる雨よ。慈雨に彼等を茂り繁らせ給へ

ふゆのけやきの黒き木末を隠しゆくみどりの靄の春に逢ひにき

背中の。痒くなり始むは、傷口の。治りかけていん。瘡蓋(かさぶた)をつくり

瘡蓋といふバンドエイドは万人に生きとし生けるものにそなはる

沛然と四月の雨ふる。静かなるはわれは部屋にありて、外の雨を見つ

昭和天皇のことをおもへり。六十年間を一度もおもはざりし人を

飾らぬ。人柄はあらわれあはれわれは、昭和天皇の人をおもひをりき

わがちちは、飾らぬ質に。あるいはこれが明治生まれの一般ならむ

画像

【昭和天皇御製を読む 162】ななそぢになりしけふなほ忘れえぬ
昭和45年1969年。68歳。十四首。
……七十歳になりて 四首
七十(ななそぢ)の祝ひをうけてかへりみればただおもはゆく思ほゆるのみ
ななそぢを迎へたりけるこの朝も祈るはただに国のたひらぎ
よろこびもかなしみも民と共にして年はすぎゆきいまはななそぢ
ななそぢになりしけふなほ忘れえぬいそとせ前のとつ国のたび

字面(じおも)がうるはしい。平仮名と漢字の配置をみるだけで矢嶋博士の目はよろこび精神が同意する。
調べがいかにも自然になだらかな起伏を持ち、各句各句を繋いでゆく。この響きをこころに鳴らせゆくとき心地よい。
各句の最後のオンと続く最初のオンの響きあいがよいのだ。

思想の展開が自然である。とってつけたような不自然の露出がない。これは稀有のことではないか。昭和天皇は天性の詩人なのではないか。

このところ、きょうの「御製」のために以前の御製をよみかえすことが多くなり、いい歌ばかりだなあ、と思い思いすることが多くなった。もともと偶然のたまたまのきっかけとも言えぬ経緯から『昭和天皇御製を読む』ことを始めた。一切の先入観手引きなしである。で、最初のころはここまでの傑作群がひかえていることなども夢にもおもってはいない。

ななそぢになりしけふなほ忘れえぬいそとせ前のとつ国のたび

二十歳の時の3月3日から9月3日までの黄金の日々を……なほ忘れえぬ。させる。ジョージ五世に理想の立憲君主をイギリスに理想の立憲君主制を見た。それはひと目ですべてを悟る、というふうの優れて直感的のものであって、その正しい直感は詩人的といってもよいものである。これが、昭和天皇の政治的バックボーンを成している。真実の民主主義者である。天皇という存在と民主主義者という存在は渾然一体になれる。対立するものではない。たとえばイギリスの皇室の青年は戦争の時最前線にゆく。市民と共に市民より先に国のために死ぬのだ。

よろこびもかなしみも民と共にして年はすぎゆきいまはななそぢ

この御製そのものである。このうたの結句にはいうにいはれぬユーモアの響きあり。第2句、8オンである。初句第2句のリフレインは剛毅のたましひの響きあり。

……よろこびも/かなしみも民と/
……5/8/
……よろこびも/かなしみも/民と
……5/5/3/

よろこびも、かなしみも、民と。共にして、年はすぎゆきいまは。ななそぢ

思想的息継ぎは上のようになるか。

よろこびもかなしみも。民と。共にして。年。はすぎゆきいまは、ななそぢ

声にだして読み上げるとき、昭和天皇ならば、上のように息をのまれるか。矢嶋博士は昭和24年4月27日うまれである。昭和天皇誕生日
の4月29日よりはふつか?早い。それから昭和64年まで40年間を昭和天皇と Contemporary にすごしている。生前は一切の関心を持たなかった。教育の害悪であろう。少年矢嶋博士はこれでもか、というほどの従順な児童生徒であった。いま思えば、その口調は懐かしい。もっと聞いておくべきだった。これはわが実のちちははについても言える。

親孝行したいときには親は亡し天皇をおもふ時すぎにけりな

画像

【昭和天皇の写真を読む 1】
昭和天皇とマッカーサーの2ショット写真がある。
1920年9月27日、初めてマッカーサー司令官を訪問した時の記念の2ショットである。写真への日本人の評判は、良くない。斎藤茂吉などは「うぬぅ…このぉ…マッカーサー野郎」と、唸って悔しがった。

しかし、果たしてそうか。あの記念写真は本当に屈辱的か。
そうではあるまい。というのが、矢嶋博士の「読み」である。
素直に見る。左翼イデオロギー、ヘンな愛国心を無くして。
マッカーサーは神妙な顔つきをしている。戦勝国占領司令官という奢りや昭和天皇に対する偏見、ある種の見下した顔つきでは全然ない。
どころか、なにか、はにかみ、のような少年ぽい表情をしている。昭和天皇に実際に会った人々が皆が持つ、畏敬をマッカーサーは感じている。【はにかみ】がその証拠である。
昭和天皇は、無心であられる。この時、昭和天皇はマッカーサーに
「日本国を救うためならわたし一人が犠牲になる、一般の国民を頼む」と言われた。軍人であり騎士道精神のマッカーサーの意気に感じたのは当然である。また、昭和天皇は40年前のイギリス・ジョージ五世に見いだしたものと同じものをアメリカ・マッカーサーに見いだした。
本当の民主主義の立憲君主制であり、大統領を持つ共和制。が、それである。昭和天皇の思想の根源にある。

…… ななそぢになりしけふなほ忘れえぬいそとせ前のとつ国のたび

二人のあいだには瞬時に友情のようなもの、相互に畏敬し合う尊重しあう気持ちが生まれている。
厚木飛行場に降り立った占領軍司令長官。の傲岸不遜の雰囲気はない。表情が柔らかい。別人、か。とも思える写りである。それがどうして、みんな分からないのだろう。写真を読む、のは大層難しいものである。

それが写っているのだ。イデオロギーで写真は読めぬ。

画像

遊軍・在日 Irishry ・矢嶋博士



昭和天皇独白録 (文春文庫)
文藝春秋
寺崎 英成

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 昭和天皇独白録 (文春文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

昭和天皇〈第2部〉英国王室と関東大震災
文藝春秋
福田 和也

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 昭和天皇〈第2部〉英国王室と関東大震災 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
第506号4月9日土 【昭和天皇御製を読む 162】ななそぢになりしけふなほ忘れえぬ 日刊短歌/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる