第919号7月9日月【昭和天皇御製を読む 612】三島麻亜子による演習 9。蕊粉をおとす。口語の威、

【日曜日【禍】壇】三島真亜子による演習 9。
……演習 9。。。
持てる莟。ことごとく開け白い肉の黄ばめるまでを咲くゆりの□にほふ
□□□詩のごとき快癒報告とどきたり姫百合さかんに蕊粉をおとす□三島麻亜子。2012年春の歌
……2012年7月8日淡路
であひがしらの猫を踏みさうになり。どちらともなし。嗚呼にャんまんだぶぅ~
【三島麻亜子を読む】2012年6月の 第2歌。蕊粉をおとす。が顕すもの。
詩のごとき快癒報告とどきたり姫百合だかんに蕊粉をおとす
……三島麻亜子ブログ「底無しの夢(麻亜子の勝手に選歌)」
……http://nousan.blog.ocn.ne.jp/
……蕊粉をおとす
この結句のカタチは、口語である。
三島は意識してこの口語で結ぶ。……蕊粉落としぬ。……蕊粉を落としぬ。とはしない。なぜか?。
「蕊粉おとしぬ」はもんだいにならない。助詞【を】抜かすこの文体は平凡であり、知性のまったく関与しない短歌の陳腐形の代表と言ってもよい。新聞歌壇、結社誌歌壇、短歌専門業界誌歌壇に蔓延する陳腐形である。「蕊粉をおとしぬ」。8オンになる。調べが緩く汚い8オンである。この増オンには必然性がない、というよりもここでは助詞【を】を象眼しての効果というものがまるでない。からである。
……蕊粉
……しべこ
……/ si-be-ko /
花粉、ではなく、三島はここでなぜ【しべこ】という即物を採用したか。
詩のごとき快癒報告とどきたり姫百合さかんに蕊粉をおとす
一首を貫くものはある不気味さ、であろう。人間の存在にまとわりつき離れない不条理の影である。
……死にむかって生きる
という根源の不気味であろう。この根源を掴みたい。
……蕊粉をおとす
この、即物的散文的口語的文法、甘たるい叙情から完全に突き放して冷ややかに記述する文体。結句の必然はここらあたりの機微から生まれる。
この効果はこの歌のやうな技法がいる。疑似口語体の採用である。
また、意識して結句を6オン、ないし5オンの欠オンにすることでも得られる。ヤシマの演習 9。結句、……ゆりの□にほふ。
【瀬音 皇后陛下御歌集を読む 227】Sound of Silence. Sound of Music.
平成2年1990年。二十二首。第二十歌。
二十二首は美智子さまの「瀬音」中最大の御歌数である。きょうは第二十歌。
……平成
平成の御代(みよ)のあしたの大地(おほつち)をしづめて細き冬の雨降る
短歌は絵である。が音楽である。
視覚であり、聴覚である。
この御歌は、まつたき「無音」があらはされる。雪が降るとき世界は無音に近づく。
……細き雨
も、世界を無音にする。Sound of Silence. というのは沈黙の音、ではない沈黙のなかを流れる調べ。という状態である。Sound of Music. は音楽の音、ではない。音楽の響き、調べ、ということである。
美智子さまはその無音の調べを聴いてをられる。
無音のしらべのもとにしづまる光景を視覚、してをられる。
短歌ではここ新仮名現代仮名使いの「しずめて」ではけっして【しづめて】の現実はあらわれない。新仮名現代仮名使いでは不可能事に属する。
……平成の御代(みよ)のあしたの大地(おほつち)を
巨大な初句第2句第3句のあらわす世界を。
この巨大の文体は額田女王の文体を思わせる。巨大叙事詩人の柿本人麿、巨大叙景詩人の源実朝を。
矢嶋よ。やよ。励まね。や。
なほ、なほの幾乗を、励まね。や。
なほ、その幾乗を励まね。や。
なほ、なほ、その幾乗の幾乗を励まね。や。そして、そこに死ね。や。
【昭和天皇御製を読む 612】
昭和20年1945年。
……母宮より信濃路の野なる草をたまはりたれば□□二首
わが庭に草木をうゑてはるかなる信濃路にすむ母をしのびぬ
夕ぐれのさびしき庭に草をうゑてうれしとぞおもふ母のめぐみを
矢嶋よ。やよ。励まね。
【天皇陛下御製を読む 135】。
平成19年2007年。九首。第5歌。
……孫誕生
我がうまご生(あ)れしを祝ふ日高路(ひだかぢ)の人々の声うれしくも聞く
平成18年9月5日から9日を、両陛下は北海道に行幸されてをられた。6日に、悠仁親王殿下がご生誕された。日高路を行幸されるそのまっただなかの御慶事であった。
……日高路(ひだかぢ)の人々の声うれしくも聞く
日高路の天地も震えたであろう。人々とともに。
矢嶋よ。やよ励め。さらにさらに励まね。や。
矢嶋博士
